移行前のチェックリスト
- 旧サーバーのOS・ミドルウェア・ライブラリのバージョンを記録する
- 旧サーバーの設定ファイル(Nginx・Apache・MySQL設定)をバックアップする
- データベース(MySQL/PostgreSQL)のフルダンプを取得する
- アップロードファイル・メディアディレクトリを丸ごとバックアップする
- SSL証明書の有効期限と再発行手順を確認する
- DNSのTTL設定を確認し、移行前に短縮する(300秒推奨)
- 新サーバーを用意し、OS・ミドルウェアのセットアップを完了させる
- 移行先サーバーのIPアドレスを記録する
ファイルの移行(rsync)
ファイル移行には rsync が最もトラブルが少ない方法です。SSH経由でファイルを転送します。
# 旧サーバーで実行(新サーバーへ転送)
rsync -avz --progress /var/www/html/ user@新サーバーIP:/var/www/html/
# 特定のディレクトリを除外する場合
rsync -avz --exclude='cache/' --exclude='tmp/' /var/www/html/ user@新サーバーIP:/var/www/html/
データベースの移行(MySQL/PostgreSQL)
MySQL の場合
# 旧サーバーでダンプ(全データベース)
mysqldump -u root -p --all-databases > all_backup.sql
# 特定のデータベースのみの場合
mysqldump -u root -p データベース名 > db_backup.sql
# 新サーバーへ転送
scp db_backup.sql user@新サーバーIP:/home/user/
# 新サーバーでリストア
mysql -u root -p < /home/user/db_backup.sql
PostgreSQL の場合
# 旧サーバーでダンプ
pg_dumpall -U postgres > all_postgres.sql
# 新サーバーでリストア
psql -U postgres < all_postgres.sql
設定ファイルの移行
Nginx・Apacheなどの設定ファイルは直接コピーするのではなく、内容を確認しながら新サーバーで再設定することを推奨します。旧サーバーと新サーバーでOSやパッケージのバージョンが異なる場合、設定の互換性に問題が出ることがあります。
# 旧サーバーの設定を確認してコピー
cat /etc/nginx/sites-available/default
cat /etc/nginx/nginx.conf
# 新サーバーで設定を作成・テスト
nginx -t # 設定ファイルの構文チェック
systemctl reload nginx
hosts ファイルで先に確認する
DNSを切り替える前に、ローカルの hosts ファイルを使って新サーバーの動作を確認できます。
# Mac/Linux: /etc/hosts を編集
# Windows: C:\Windows\System32\drivers\etc\hosts を編集(管理者権限)
新サーバーのIPアドレス example.com
新サーバーのIPアドレス www.example.com
ブラウザで https://example.com を開くと新サーバーが表示されます。確認が終わったら hosts ファイルの追記行を削除してください。
DNS変更の手順
- ドメインのDNS管理画面(レジストラまたはDNSサービス)にログインする
- AレコードのIPアドレスを旧サーバーのIPから新サーバーのIPに変更する
- TTLを300〜600秒に設定して保存(事前に変更済みなら確認のみ)
- 変更後5〜10分待ってから複数の環境(PC・スマートフォン・別ネットワーク)でURLにアクセスして確認する
- SSL証明書が新サーバーで正しく動作していることを確認する
- 問題がなければ旧サーバーはすぐに削除せず72時間以上待つ
移行後の確認チェックリスト
- 複数ブラウザ・デバイスでサイトが正常表示されること
- SSL(HTTPS)が有効で証明書エラーがないこと
- フォーム送信・ログイン・決済などの動的機能が動作すること
- 画像・ファイルのリンクが切れていないこと
- メール送信機能が正常に動作すること(SPF/DKIM設定も確認)
- クローラー(検索エンジン)が旧IPではなく新IPにアクセスしていること
- Webサーバーのアクセスログにエラーがないこと
- TTLを元の値(3600秒等)に戻す
全項目を確認してから72〜168時間(3〜7日)が経過したら旧サーバーを削除します。
よくあるトラブルと対処法
ipconfig /flushdns または sudo dscacheutil -flushcache)して再確認します。解決しない場合はモバイル回線など別ネットワークで確認してください。TTLを事前に短縮していれば1〜10分で切り替わります。wp-config.php の接続情報が旧サーバーのものになっている可能性があります。MySQLのユーザー権限(GRANT文)が新サーバーで適切に設定されているかも確認します。certbot certonly --webroot または certbot --nginx で取得します。ドメインがまだ新サーバーIPに向いていない状態では発行できないため、DNS切り替え後に実行してください。Hyonixへの移行手順(国内VPSから海外VPSへ)
海外VPSへの乗り換え先として挙がりやすいのがHyonixです。ただし、この記事のrsyncやMySQLの手順(Linux前提)は、そのままではHyonixに使えません。Hyonixは公式でWindows専用(Linuxは選べない)だからです。先に次の判定をしてください(公式情報・2026年10月4日確認)。
- 移行できる:国内のWindows VPSで、FXのEA(MT4/MT5)やWindowsアプリを動かしている人。Windows同士の引っ越しです。
- 移行できない:Linux VPSでWordPressやNginxを動かしている人。Hyonixにはそのまま載せられないため、Linuxのまま使えるVPSを選びます(乗り換え先VPSの選び方)。
手順1:拠点を選ぶ(国内から海外に移すとき)
東京(Equinix TY8)・ニューヨーク(NY2/NY4)・ロンドンなど、18拠点から選べます。公式にテスト用のIPが公開されているので、契約前に自分の回線からpingを打って比べられます(拠点の選び方(pingで比べる))。FXなら、取引サーバーに近い拠点が候補です。拠点は後から変えにくいので、最初に決めます。
手順2:契約して、旧サーバーは残したまま始める
返金の対象は「初回1サーバー・7日以内・月払いか3か月払い・PayPalかカード」で、チケットで申請します。暗号資産とAlipayでの支払いは対象外です(返金と請求の詳細)。7日以内に新サーバーで動作を確認し切るつもりで、旧サーバーは解約せず残しておきます。
手順3:RDPで接続する
2026年7月8日以降の新規注文では、RDPのポートが標準の3389ではありません。届いた案内のポート番号を、接続先にIPアドレス:ポート番号の形で入力します(RDP接続の手順)。初回ログイン後にパスワードを変更します。
手順4:データを移す
- 旧サーバーで書き出す:アプリの設定とデータのフォルダを洗い出して、圧縮します。MT4/MT5なら、メニューの「ファイル → データフォルダを開く」で表示されるフォルダ一式が対象です(EAは
MQL4\Experts・MQL5\Experts)。 - 新サーバーに運ぶ:RDPの「ローカルディスクの共有」を有効にして、ドラッグ&ドロップで転送します。量が多いときは、圧縮ファイルを1つにしてから送ります。
- 新サーバーで開く:MT4/MT5を入れてから、データフォルダに展開します。口座へのログインは、手元のログイン情報で入り直します。
- 動かして確認:EAが「自動売買を許可」で緑のスマイルになることと、ログにエラーがないことを確認します。
手順5:同時稼働に注意して切り替える
EAを旧サーバーと新サーバーで同時に動かさないでください。同じ口座で二重にポジションを取る原因になります。新サーバーで動作を確認したら、旧サーバー側のEAを止めてから、新側の自動売買を有効にします。
手順6:Webサイト・メールを置いていた場合
- ドメインのDNSは、この記事のDNS変更の手順と同じ流れです。新サーバーのIPアドレス(公式は専用IP1つ)に、TTLを下げてから切り替えます。
- Hyonixの利用規約では、メール送信(25・465・587番ポート)、torrent、マイニング、公開プロキシ、アダルトは禁止されています。メールサーバーを自前で動かしている場合は、そのままでは移せません(禁止事項の詳細)。
移行失敗を避けるチェックリスト
- 移行先がWindowsで、Linuxの環境ではないことを確認した
- 7日間の返金期限を、契約日から数えてメモした(旧サーバーはそれまで解約しない)
- 拠点を、pingで比べてから決めた
- RDPのポート番号を、案内のメールで確認した
- 自動課金の日を確認した(公式は期日21:00(UTC+8)に自動課金。未払いは翌日停止・7日後に終了)
- データを移す前に、旧サーバーのバックアップを手元に取った
- EAを新旧で同時に動かしていない
- 画面・規約・サポートが英語であることを理解した(日本語サポートは確認できる資料がありません)
乗り換え先VPSの選び方
移行先を選ぶ際は、現在の環境の課題を明確にしてから比較することで、同じ問題を繰り返さない選択ができます。
| 現在の課題 | 見直すべきポイント | おすすめの選択肢 |
|---|---|---|
| 月額コストが高い | スペックの無駄遣いがないか確認。1ランク下でも要件を満たせる場合が多い | さくらVPS・ABLENET・海外VPS |
| レスポンスが遅い / レイテンシ問題 | サーバー設置地域・帯域幅の保証確認 | 国内DCのVPS(ConoHa・さくら・Xserver) |
| 管理が難しい | 管理画面の使いやすさ・テンプレートの豊富さ | ConoHa VPS(国内最も直感的) |
| 障害が多い / 安定性不足 | 冗長性・SLA・過去の障害履歴を確認 | GMOグループ(ConoHa)・さくらインターネット |
| スペックを増やしたい(CPU・RAM) | プランの上限・スケールアップの自由度 | Vultr等の海外VPS(低価格高スペック) |
| バックアップが不十分 | 自動バックアップオプション・スナップショット機能 | ConoHa(スナップショット機能あり) |
乗り換え前の事前確認チェックリスト
- 現在のVPSのOSバージョン・インストールアプリを書き出す
- 乗り換え先のOSテンプレートが現行環境に対応しているか確認
- ドメインの移管は伴うか(VPS移行とドメイン移管は別作業)
- メールサーバーが現VPSにある場合、メール環境も移行対象に含める
- 現VPSの契約残期間・解約条件を確認(途中解約の返金有無)
- 乗り換え先の無料トライアル・初月無料キャンペーンを活用する
- 移行作業の所要時間(バックアップ・転送・テスト・DNS反映)を見積もる
必要な容量・バックアップ・サポート条件が整理できたら、同じ条件で国内VPSを比較します。まだ予算が決まっていない場合は、先に費用見積もりを確認してください。